< 2024年05月 >
S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
アクセスカウンタ
プロフィール
百紫苑=hakushon
百紫苑=hakushon
別名:地団駄踏男(じだんだふみお)
持病:地団駄の踏み過ぎによる右踵痛
来世では猫に生まれ変わりたい(黒猫か白黒猫希望)
オーナーへメッセージ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 24人

2007年12月18日

いろんな顔

 先週の月曜日、父の遣いで某本土企業の沖縄営業所へ商品注文のため赴いた。商品を注文するだけならお安い御用だが、この会社が日本復帰する前の沖縄で別法人を設立する際にいろいろな経緯があり、父が登記上の社長を務め、実際の運営は親戚がしていたので、所長さんに挨拶をしなければならなかった。私は営業所のドアを開けると同時に「こんにちは〜」とできるだけ朗らかに挨拶し、自分の名を名乗ってから「○○所長さんいらっしゃいますか」と近くにいた女子社員に尋ねた。しかし彼女は私に対して「いっらしゃいませ」とも「こんにちは」とも言わず、ポカンと口を開けたまま座っている。それで、今度は彼女の机越しに立っていた男子社員に同じ質問をしようとしたが、こちらも似たような間抜け面を晒していたのでウンザリした。

 しかし、ここで怒っちゃいけないと気を取り直し、再度「所長さんいらっしゃいますか」と女子社員に質問したら、ようやく小さな声で「○○は出張中です」と答え、ふらふらと立ち上がり受付カウンターまで来た。それから私は父の名刺を差し出して、「かつて父が登記上だけとはいえ、この会社の社長を務めていましたので、本来は一緒に訪問して所長さんに挨拶すべきですが、父は足が悪いので私1人で参りました」といった内容を話したが、2人とも「はぁ、はぁ」と言うばかりで、暖簾に腕押し、豆腐にかすがい、糠に釘。

 私はゆっくりと深呼吸してから、商品を注文した。すると30代半ばと思われる男子社員が初めて口を開き、「ここは沖縄全体の代理店を統括する営業所ですから、注文を受け付けることはできないんですよねー。だから注文は代理店でして下さいよー」とニヤニヤしながら言う。かなり不愉快な態度だが、言っていることはごもっともだ。それで私が最寄りの代理店を教えて下さいとお願いしたら、女子社員がリストを持ってきた。私はその中から目敏く営業所の所在地に隣接する地名を見つけ、その代理店の場所を訊いた。すると男子社員が「あぁ、ここは△△の近くにありますよー」と言うので、私が「△△はどこですか」と重ねて訊くと「△△があるのは………えーっと、あの通り、名前何だっけなー」と腕組みをして悩み始めた。こいつは顔だけじゃなく、本物の間抜けだ。間抜け頭から通りの名前をひねり出しても、私がそこを知らなければまた「その通りはどこですか」と訊かれるだけじゃないか。通りの名前を思い出すのに時間をかけるよりも、別の手がかりを探すべきだ。

 私は間抜けを心の中で斬り捨てて、女子社員に「地図はありませんか?」とダメ元で訊いた。すると「あります」と言うではないか!「だったら、さっさと持って来んかい〜」と凄みたくなるのをかろうじてこらえ「地図見せて下さい」とお願いした。これとほぼ同時に私の中では既に死人と化した間抜けが「あぁ、思い出した!××通りだ〜」と大きな声を上げたが、私は××通りを知らなかったので、これを無視して女子社員がクリアファイルから地図を引っぱり出すのを見ていた。引っぱり出された地図の下に同じ地図が見える。ちゃーんと地図をコピーして営業担当者に渡せるよう準備しているのだ。私は地図を受取り「これもらっていいですか?」と訊いた。もし「ダメです」という答えが返ってきたら、この女子も斬り捨てて立ち去る覚悟をしていたが、幸いなことに答えは「えぇ、どうぞ」だった。地図を確認した。この営業所から代理店まで小さな通りの名前を思い出さなくても、「国道を渡って、大きなパチンコ屋の角を左に曲がり、1つ目の信号を右に曲がると1つ目の角の右手にあります」と説明できる場所だった。

 用件が済んだので一刻も早くこの営業所から出たかったのだが、ドアに向かって半歩踏み出した私に「その店よりもー、■■にある代理店の方がいいんじゃないですかー」とゾンビが提案してきたので、私は思わず「はぁ?」と不機嫌な声を出してしまった。私がこれから向かおうとしている代理店は、この営業所から徒歩10分か15分の距離にある。しかし、この間抜けがすすめている代理店は車で順調に行って15分か20分の距離だ。私は振り返り、なるべく感情を表に出さないよう努めつつ「近くの代理店がいいです」と間抜けに答えた後、心の中でもう1度こいつを袈裟斬りにして、念のため土に埋めてからこの事務所を後にした。土を掘ってまた埋め戻すのは疲れるよ、まったく。

 あれからちょうど1週間過ぎた昨日、父から電話があり、注文した商品が届いたそうだから受取りに行くようにと命ぜられた。代理店には私のケータイ番号しか教えていないのに、何故実家に電話がかかってきたのだろうかと疑問に思ったが、すぐに某社の営業所で父の名刺を差し出したことを思い出し、営業所と代理店の間で何らかのやりとりがあったのだろうと納得した。ところが代理店に行ったら商品はまだ届いていないと言う。あぁ、きっと父は耳が遠いから何か別の用件と聞き違えたのだろうとこれまた納得し、お店の人にもそのように伝えてそこを出た。代理店近くのコインパーキングを出ようとした時、ケータイが鳴った。電話に出ると先程のお店の人で「念のため営業所に確認したら、商品はあちらに届いているそうです」と言う。頭の中が?だらけになったが、お礼を言って営業所に向かった。

 某社沖縄営業所に到着し入口ドアを開けようとしたら、ガラス越しに私の姿を確認した先週の女子社員がバネ仕掛けの人形のように素早く立ち上がり会釈した。一体何事かとまた頭の中を???でいっぱいになったが、私は先週この事務所で何事も起こらなかったような顔をしてドアを開け「こんにちはー」と朗らかに挨拶した。女子社員が「いらっしゃいませ」と私を迎え、深々と頭を下げる。「あぁ、どうも」…何だか居心地が悪い。私が用件を伝える間もなく彼女は事務所の奥へ小走りで行き、「所長、●●さんがいらっしゃいました」と私の来訪を告げた。奥から出てきた50歳前後の所長さんは、精一杯の笑みを満面に湛え「どうも、どうも」と私を迎えた。

 「いやー、先日はわざわざこちらへお越しいただいたのに、また代理店までご足労願ったようで大変失礼しました」と所長さん。「あ、いえ、こちらこそ代理店での業務を営業所でお願いしてすいませんでした」「いやいやいやいや、とんでもない。今日も代理店に行かれたんですってね」「ええ、注文したのはあっちだったので……」「またまた〜、そんな水臭いことを〜」。このようなあまり噛み合わない会話がしばらく続いてウンザリしたが、何とか無事に注文した商品を受け取ることができた。めでたしめでたし……と言いたいところだが、辞去する前に「そういえば先週斬り捨てた男が見当たらないな」と改めて事務所内をぐるりと見渡したら、机の上に並べられた資料の隙間から私を盗み見している間抜けと目が合った。彼はさっと私から目を逸らし一層頭を低くしたが、頭隠して尻隠さず。いかにも本物の間抜けらしい振舞いだった。

 仕事の時とプライベートで顔を使い分けるのは当然だと思う。しかし、仕事でお客さんと応対する時にいろんな顔を使い分けるのは、さぞかし疲れることだろう。事務所を出た直後、可哀想だと思ったが、心の中で土に埋めた間抜けの上に大きな石を乗せた。この世だろうが、あの世だろうが、こいつと関わり合うのはこれで最後にしたい。

タグ :ウンザリ

同じカテゴリー(独言)の記事
ごめんなさい
ごめんなさい(2013-02-16 00:55)

×購読
×購読(2011-05-04 10:14)

×下り→○件
×下り→○件(2011-04-07 08:42)

増量中
増量中(2011-04-03 09:36)

先月の平均体重
先月の平均体重(2011-04-01 07:45)

Posted by 百紫苑=hakushon at 21:48│Comments(6)独言
この記事へのコメント
読んでいてワジワジします。( ̄ー ̄)一言先日は失礼しましたと詫びれば許すものの!
全く馬鹿にした話しですね(−_−#)
Posted by マッシー!! at 2007年12月18日 22:37
コメント&長ったらしい文章を読んでいただきまして有難うございます。
詫びずとも、知らない仲ではないのですから「先日はどうも」と挨拶くらいできないものでしょうかね〜。
Posted by 百紫苑=hakushon at 2007年12月18日 23:09
いやーこの文を読んでいると
この所長も曲者だな~?
先日の事は詫びたとしても
こっちで商品を預かってる事も伝えず
代理店まで、行かしておいて、詫びもせず
水臭いなーですか?
ダメだこりゃ!
Posted by むにらむにら at 2007年12月19日 00:17
コメント&長ったらしい文章を読んでいただきまして有難うございます。
私がまず代理店に足を運んだのは、父からの指令が「注文した商品が届いたそうだから受取りに行ってくれ」だけだったせいなので、所長さんを責めるわけにはいきません。
ただ、代理店の人が機転を利かして、注文した商品が営業所に届いているかどうか電話で確認したように、所長さんも代理店に電話して「あのお客さんは、うち扱いにするから」とひと言だけでも連絡してほしかったです。
「大男総身に知恵が回りかね」という言葉がありますが、業界最大手の某社は細かい気配りなしに次から次へと仕事が舞い込んで来るのでしょう。
Posted by 百紫苑=hakushon at 2007年12月19日 00:52
どこにでもこんな人いるのですねぇ。
読んでて今日役所に住所変更行ったの思い出しました。

一回一回めんどくさい顔、人を見下した態度。そんなに露骨に顔に出すのならお前は表にでて仕事するなと思いました。

それでも役所だから、百紫苑さんの某社のように仕事が成り立っていくのでしょうね・・・
Posted by donnadonna at 2007年12月19日 01:00
コメント&長ったらしい文章を読んでいただきまして有難うございます。

donnaさんはとうとう長崎の人になっちゃったんですね…。

世の中は現役お役人と天下りした元お役人、そして彼等と仲のいい企業の天下なので文句を言っても疲れるだけです。陰口叩くか、こっそり呪いをかけるかして我慢しましょう。
Posted by 百紫苑=hakushon at 2007年12月19日 01:57
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。